転職して、年収っていくら上がるんですか

これに正直に答えている記事が、ほとんどありません。

こんにちは。薬局薬剤師のとんぷくです。薬剤師歴19年、転職は4回しました。

先に結論を書きます。僕の年収は、初任給420万円から今の650万円まで上がりました。19年かけて230万円です。そして4回のうち、はっきり失敗だったと思っているのが1回あります。

なぜこの記事を書くかというと、転職エージェントが運営するサイトには「僕は失敗しました」と書けないからです。彼らは登録してもらうのが仕事なので、当たり前です。

でも実際に転職を考えている人が知りたいのは、成功例だけではないはずです。いくらもらえて、何を失って、どこで間違えたか。4回ぶんの実額と、失敗した回の中身を全部出します。

読み終わるころには、「自分の場合はどうか」を考える材料がひととおり揃っているはずです。

4回の転職を、数字で一覧にする

まず全体像から。細かい話はこのあと1回ずつ書きます。

時期 職場 年収 辞めた理由
新卒都市部・大手チェーンの門前薬局420万仕事を覚えられず、毎日叱責された
1年未満で首都圏・個人経営の小さな薬局地元に近い場所から声がかかった
25歳親戚が経営する薬局(地方)500万親戚関係と仕事が混ざって壊れた
30歳ごろ(管理薬剤師になる)580万
現在地域密着の調剤薬局650万

19年で230万円。年に直すと年12万円ずつです。

正直、派手ではありません。ただ、これが地方の調剤薬局で普通に働いた場合のリアルな数字だと思ってもらっていいです。

そして重要なのは、この230万円のうち大部分が「転職したとき」と「管理薬剤師になったとき」に動いていることです。何もしなかった年は、ほとんど上がっていません。

1回目|新卒で入った門前薬局を、1年足らずで辞めた

大きな薬局で経験を積みたい、と思って大手チェーンに入りました。配属されたのは薬剤師が何十人もいる巨大な店舗で、1日に受ける処方箋も三桁後半。

結果から言うと、仕事が覚えられず、同期に抜かれ、毎日叱責されつづけました。

辞めたいと親戚の薬剤師に相談したら「そんなこと言わずに3年はがんばれ」と言われました。正しいアドバイスだと思います。でも耐えられず、1年足らずで辞めました。

いま振り返って思うこと

新卒のときの僕は、「大きい薬局=勉強になる」としか考えていませんでした。

でも実際には、処方箋の枚数が多い薬局は、一枚一枚を丁寧に見る余裕がありません。覚える前に次が来る。教える側にも余裕がない。

「勉強になる環境」と「忙しい環境」は、別物です。ここを取り違えたのが1回目の失敗でした。

2回目|個人経営の小さな薬局へ

次に移ったのは、薬剤師が数人しかいない個人経営の薬局でした。

前の職場と正反対です。処方箋の枚数は少なく、患者さんの顔と名前が一致する。分からないことを聞ける距離に先輩がいる。

新卒でここに入っていたら、僕は薬剤師をやめずに済んだかもしれない、と今でも思います。

規模の大小に、良い悪いはありません。自分がどちらで伸びるタイプかを、先に知っておくべきでした。

3回目|親戚の薬局に行って、これが一番の失敗でした

ここが4回のなかで、はっきり失敗だったと言える回です。

地方の親戚から「薬剤師が足りなくてピンチなの、来てくれない?」と連絡がありました。地元の近くだし、いずれ帰りたいと思っていたので、ちょうどいい話に思えました。

年収も上がりました。500万円です。そのあと管理薬剤師になり、30歳の時点で580万円になりました。

数字だけ見れば、この転職は成功です。

なにが失敗だったのか

仕事の関係に、親戚の関係が混ざりました。

プライベートにも踏み込まれ、何かと文句を言われる。僕の妻に対しても姑のような振る舞いをされる。家族関係にまでヒビが入りました。

「親戚関係 × 仕事関係」は、片方がこじれるともう片方も逃げ場がなくなります。会社なら異動も退職もできますが、親戚は辞められません。

ここから学んだこと

転職の判断で、僕は「条件」しか見ていませんでした。

年収、勤務地、通勤時間。全部わかりやすい数字です。でも実際に毎日つらくなるのは、数字にならない部分でした。

紹介やコネの転職には、「合わなかったときにどう抜けるか」がありません。エージェント経由なら担当者に相談できますが、親戚には相談できない。この一点だけでも、選択肢としては相当リスクが高かったと思います。

4回目|年収が上がったあとの転職は、思ったより厳しい

親戚の薬局を出るために動いたのが3回目、そして直近が4回目です。

このとき初めて壁にぶつかりました。「こんなに出せないよ」と複数の会社から言われたんです。

すでに管理薬剤師として580万円をもらっていました。地方の調剤薬局で、この水準からさらに上げるのは簡単ではありません。

年収が上がってからの転職には天井がある

これは転職を考えている人にぜひ知っておいてほしいところです。

年収400万円台の人が転職で50万円上げるのは、わりと現実的です。でも600万円に近づくと、同じ50万円がとたんに難しくなります。

地方の調剤薬局が管理薬剤師に出せる額には、上限があります。それを超えたければ、職場を変えるだけでは足りません。

だから僕が言えるのは、動くなら早いほうがいいということです。年収は上がったあとの期間が長いほど、生涯でもらえる総額が変わります。逆に言えば、上がってから動こうとすると選択肢が狭まります。

4回やってわかった、いちばん大事なこと

4回ぶんを並べてみて、はっきりした共通点がひとつあります。

うまくいった回は、事前に情報を持っていた回でした。

  • 1回目:ネットの求人票だけ見て決めた → 失敗
  • 3回目:親戚の話だけで決めた → 失敗
  • 直近:エージェントに現場の情報を出してもらってから決めた → 納得できた

僕は転職エージェントを万能だとは思っていません。担当者によって当たり外れは大きいし、しつこい会社もありました(そのへんは別記事に正直に書いています)。

それでも4回やってわかったのは、求人票に書いていない情報を持っているのは彼らだけだということです。何人辞めたか、管理薬剤師がどんな人か、残業が本当は何時間か。これは自分では調べられません。

この先を読むなら

この記事は、僕の転職4回ぶんの全体像でした。ここから先は、それぞれ深く掘った記事に分けています。

転職は、しんどい日の頓服みたいなものだと思っています。毎日飲むものではないし、飲まずに済むならそれが一番いい。

でも本当にしんどくなったとき、選択肢があるのとないのとでは、気持ちの余裕がまるで違います。

それでは、また。

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