「いい求人があるので、一度お会いしませんか」

この電話を、何度も受けてきました。

こんにちは。薬局薬剤師のとんぷくです。薬剤師歴19年、転職は4回。そのあいだに5社の転職エージェントを使いました。当たりもあれば、はっきり外れもありました。

先に結論を書きます。エージェントの言葉は「事実」と「営業」に分けて聞いてください。事実の部分は自分では絶対に手に入らない情報で、営業の部分はほとんど参考になりません。

理由は単純で、彼らの収入は「あなたが入社したとき」に発生するからです。悪意ではなく、構造としてそうなっています。ここを理解しておけば、使い方を間違えません。

この記事では、実際に言われた言葉を挙げて、どれを信じてどれを流したかを書きます。僕は各社の紹介記事も書いていますが、この記事では気持ちよくない話のほうを中心に書きます。

転職エージェントの構造を知っておく

エージェントは、あなたからお金を取りません。採用した会社が、成功報酬を払います。

金額は年収の何割か、というのが一般的です。つまり、

  • あなたが入社しないと、1円にもならない
  • あなたの年収が高いほど、報酬も上がる

この2つが同時に効いています。

だから彼らには、「早く決めてほしい」という力と「年収を上げてほしい」という力が同時にかかっています。後者はあなたの利益と一致し、前者は一致しません。

ここを押さえておくだけで、どの言葉を信じるかの判断がだいぶ楽になります。

信じていい言葉|これは自分では手に入らない

まず、こちらが逆立ちしても手に入らない情報から。ここを取りにいくためにエージェントを使う、と考えて間違いありません。

「あの薬局、去年◯人辞めています」

これがエージェントを使う最大の理由です。

離職の実態は、求人票のどこにも書いてありません。ネットの口コミも、書いた人の事情に左右されます。でもエージェントは、その薬局に人を紹介して、その後どうなったかを知っています。

僕が使った担当者のなかに、そのエリアの薬局を実際に回っている人がいました。中小の薬局にも足を運んでいるので、周囲の薬局事情まで詳しくて驚いたことを覚えています。

このレベルの情報は、自分では絶対に集められません。

「この会社は、過去に◯万円まで出しています」

年収交渉のときに効く情報です。

自分で面接に行って「600万円ほしい」と言うのは、相場を知らないと言えません。高すぎれば落ちるし、低すぎれば損をします。

エージェントは、その会社が実際にいくら出したかを知っています。本人が言えない額を、第三者なら言える。これが交渉を挟む一番の意味です。

僕が4回目で年収を動かせたのは、これがあったからです。

「管理薬剤師は◯◯さんという方で、こういうタイプです」

薬局は、管理薬剤師で環境がほぼ決まります。

僕自身が管理薬剤師なのでよくわかりますが、管理薬剤師がピリピリしていると、店全体がギスギスします。逆にここが穏やかなら、多少忙しくても持ちます。

「どんな人ですか」は、必ず聞いてください。答えられない担当者は、その薬局に行っていません。

疑ったほうがいい言葉

次は、聞き流していい言葉です。悪意があるというより、営業として自然に出てくる言い回しだと思ってください。

「今決めないと、この求人はなくなります」

これはほぼ営業です。

薬剤師の求人は慢性的に埋まりません。本当に人気の求人もありますが、「今日中に返事を」と言われる求人は、たいてい急いで埋めたい理由があります。

僕は1回目の転職で、まさにこれで失敗しました。エージェントに探してもらった条件に飛びついて、「じゃあここにします」と軽く返事をしたんです。事前の下調べはゼロでした。

結果は、1年足らずで退職です。

「ご経歴なら、もっと上を狙えますよ」

嬉しい言葉ですが、最初の面談で言われたら注意してください。

まだこちらの実力も相場も見ていない段階で言えるのは、やる気を出させるための言葉だからです。

本当に狙えるなら、根拠がセットで出てきます。「◯◯の経験があるので、この規模の会社ならこのくらいです」という形です。根拠がない褒め言葉は、流していいです。

「とりあえず面接だけでも受けてみませんか」

これも成約に向けた導線です。

面接を受けること自体は悪くありません。ただ、受ける前に自分の中で条件が固まっていないと、流されます。

面接を受けると、相手も時間を使います。「せっかく受けたのだから」という気持ちが働いて、断りにくくなる。ここは自覚しておいたほうがいいです。

実際にあった、いちばん良くなかった対応

正直に書いておきます。

ある大手エージェントで、他社で転職が決まったあとに退会の連絡をしたのに、その後もメールと電話が届きつづけました。

【要返信】というタイトルで転職を促すメールが来る。退会手続きは済んでいるはずだと返信すると「申し訳ございません」と返ってくる。それでもまた届く。

最終的に電話に出たとき、これまでの経緯を全部伝えたうえでこう言いました。

これだけ情報共有がずさんで顧客の現況をわかっていないとは驚きました。こういった会社からの紹介で転職をしたくないですね

平謝りされました。それでも、そのあと2年以上たっても、たまにメールが届いていました。

担当者個人の問題というより、会社としての仕組みの問題だと感じています。

(この件の相手だったサービスは、その後に名称と運営会社が変わっています。いま同じことが起きるとは限らないので、社名は各社の紹介記事のほうで整理しています)

逆に、いちばん良かった対応

同じ4回のなかで、いちばん助けられた担当者の話も書きます。

普通、エージェントはできるだけ早く成約させたいはずです。でもその担当者は、100%こちらのペースに合わせてくれました。

こちらが言葉にしきれない部分まで汲み取って、ひとつひとつ確認しながら進めてくれる。片道数時間かけて会いに来てくれて、昼休みに近所の店で面談したこともあります。

「早く決めさせよう」としない担当者は、信用していいと思います。急かされないことが、こんなに楽だとは思いませんでした。

転職エージェントの使い方、3つのコツ

最後に、4回使ってきて「これはやっておいてよかった」と思うことを3つ書きます。

1. 2〜3社に登録する。5社は多い

1社だと担当者との相性が悪かったときに詰みます。かといって5社に登録すると、連絡の管理だけで疲れます。

2〜3社が現実的です。車を売るときの相見積もりと同じで、比較対象があるだけで判断が楽になります。

2. 最初に「いつ動くか」をはっきり伝える

「すぐ転職したい」と「情報だけ知りたい」では、担当者の動き方がまったく変わります。

情報収集の段階なら、最初にそう言ってください。そう伝えたうえで急かしてくる会社は、そこで切って問題ありません。

3. やり取りは必ずメモする

複数社と話すと、どこで何を聞いたかが混ざります。

僕は「誰と、いつ、何を話したか」を残すようにしました。あとで条件を比べるときに、これがないと本当にわからなくなります。

まとめ

長くなったので、要点だけ並べます。

  • エージェントの言葉は「事実」と「営業」に分けて聞く
  • 信じていいのは離職の実態・過去の提示額・管理薬剤師の人柄。自分では手に入らない情報です
  • 疑っていいのは急かす言葉と、根拠のない褒め言葉
  • 急かさない担当者は信用していい

エージェントは万能ではありません。担当者による差は、正直かなり大きいです。

それでも4回使ってわかったのは、求人票に書いていないことを知っているのは彼らだけだということです。使わない理由はないけれど、丸ごと信じる理由もない。そのくらいの距離感がちょうどいいと思います。

各社の特徴と、僕が実際に使ってどうだったかは別の記事にまとめています。良かったところも、いまいちだったところも書いています。

それでは、また。

▼ 4回ぶんの全体像はこちらにまとめています
薬剤師が4回転職した全記録|年収・辞めた理由・失敗を全部出します

▼ 各社の特徴を正直に比べた記事はこちら
【2026年最新】薬剤師転職エージェントおすすめ6選