薬剤師はオワコンなのか|国の推計では、余るのは人で仕事ではない
薬剤師はオワコン。
検索するとそう書いてあって、具体的な数字を出している記事がほとんどありません。
こんにちは。薬局薬剤師のとんぷくです。薬剤師歴19年、転職は4回、管理薬剤師は通算10年やってきました。
国の推計を全部読みました。たしかに2045年には10万人ほど余ります。それでも、僕はこの仕事が終わるとは思っていません。
理由は、余るのは「人の数」であって、「仕事」ではないからです。
同じ推計の中で、処方箋の枚数は2035年まで増え続け、病院で必要な薬剤師はむしろ増えると書かれています。
終わるのは職業ではなく、免許を持っているだけでどこでも同じように稼げる、という前提のほうです。
数字は全部、厚生労働省の資料から引いています。

国の推計|2045年に何人余るのか

厚生労働省の「薬剤師の需給推計(案)」に、2020年から2045年までの数字が出ています。
| 2020年 | 2045年 | |
|---|---|---|
| 需要(業務が今と同じなら) | 32.0万人 | 33.2万人 |
| 需要(業務が広がった場合) | 32.0万人 | 40.8万人 |
| 供給(毎年一定数が増える) | 32.5万人 | 45.8万人 |
| 供給(増加数が減ると仮定) | 32.5万人 | 43.2万人 |
需要がいちばん伸びた場合でも40.8万人。
供給は少なく見ても43.2万人です。
差は、だいたい3万人から10万人。
ここだけ見れば「余る」は本当です。
ただ、これは25年後の話だということは押さえておいてください。
「オワコン」の中身は、だいたい3つ

言われていることを分けると、次の3つになります。
- 薬剤師が増えすぎている
- 仕事そのものが減る
- 給料が上がらない
ひとつずつ、数字で確かめます。
1|増えすぎている → 本当です

厚生労働省の統計(2024年12月31日現在)では、全国の届出薬剤師数は329,045人です。
前回の調査から5,355人、1.7%増えています。
減ってはいません。
増え続けています。
国の資料にも、「将来的に薬剤師が過剰になると予想される状況下では、入学定員数の抑制も含め」検討する、と書かれています。
薬学部の定員にまで話が及んでいます。
ここは、オワコン派の言うとおりです。
2|仕事が減る → これは違います

同じ推計の中身を見ると、話が変わります。
処方箋の枚数
- 2020年:8.6億枚
- 2035年:9.5億枚(ピーク)
- 2045年:9.3億枚
増えてから、ほぼ横ばいです。
25年後でも、いまより多い。
薬局で必要な薬剤師の数
- 2020年:19.0万人
- 2030年:21.1万人(ピーク)
- 2045年:20.6万人
こちらも、いまより多い水準で止まります。
病院で必要な薬剤師の数
- 2020年:5.3万人
- 2045年:6.2万人
病院はむしろ増えるという推計です。
急性期病床での業務が増えることを見込んでいます。
仕事が消えるという話は、国の資料のどこにも出てきません。
増えるのは人の数のほうです。
3|給料が上がらない → 半分は本当です

ここは僕の実額で答えます。
19年で、420万円から650万円になりました。
年に直すと12万円ずつです。
ただし、上がったのは転職した年と役職が付いた年だけでした。
定期昇給は月3,000円から5,000円で、年に6万円程度です。
待っているだけなら、たしかに上がりません。
でもそれは、オワコンだからではありません。
もともと、そういう仕組みです。
くわしくは薬剤師が年収を上げる方法3つに書きました。
ひとつ、気になる数字もあります。
2024年の統計で、医薬品関係企業に勤める薬剤師は2,902人減りました。
一方で、薬局で働く薬剤師は6,702人、3.5%増えています。
「企業に行けば安泰」という話も、数字の上では怪しいです。
国の資料は「全国の話」でしかない

ここが、いちばん大事なところです。
同じ資料に、地域によって事情が違うとはっきり書かれています。
全国で余っていても、足りない場所は足りません。
僕は地方の薬局にいますが、募集しても人が来ないという話はいまも普通にあります。
都市部から移ったとき、年収は420万円から500万円に上がりました。
余っているのは都市部で、足りないのは地方です。
その実額は地方の薬剤師は高給なのかに、住居費まで含めて書きました。
終わるのは、職業ではなく前提のほう

数字をまとめると、こうなります。
- 仕事の量は、25年後もいまと同じかそれ以上
- 人の数は、それを上回って増える
- 場所によって、余り方がまったく違う
つまり、「薬剤師の免許があれば、どこでも同じように稼げる」という前提が消えていくということです。
これは終わりではなく、普通の職業に戻るだけだと思っています。
選ばれる側になる、ということでもあります。
では何が分かれ目になるのか。
僕が採用する側に回って見ているのは、こういうところでした。
- 枚数、加算、離職率を数字で話せるか
- 人が辞めたときに収められるか
- 働く場所を選べるか
くわしくは40代の薬剤師は使えないのかに書いています。
19年働いた僕の答え

新卒で入った都市部の薬局は、1年ももちませんでした。
処方箋が1日三桁後半の門前で、毎日のように叱られていました。
あのときのほうが、よほど終わっている気がしていました。
そこから4回動いて、いま年収は650万円です。
職場に不満はありません。
オワコンかどうかは、職業ではなく自分の置かれ方で決まります。
場所を変えれば、同じ免許で年収が80万円変わりました。
いま不安なら、それは職業の終わりではなく、いる場所の問題かもしれません。
動くというのは、辞めるという意味ではありません。
転職はリスクを伴いますが、自分にいくらで声がかかるかを確かめるだけなら、何も失いません。
いまの自分にいくらで声がかかるか
まとめ

薬剤師はオワコンか。押さえておくことは次の5点です。
- 国の推計で、2045年の供給は43.2万〜45.8万人、需要は33.2万〜40.8万人。余るのは本当
- ただし処方箋は2035年まで増え、薬局も病院も必要人数は今より多い
- 実際に薬局で働く薬剤師は3.5%増。減っているのは企業のほう
- 余り方は地域で違う。地方では、いまも募集して来ない
- 終わるのは職業ではなく、免許があればどこでも稼げるという前提
僕は19年やって、いまのほうが働きやすいと感じています。
終わっているのは、たぶん職業ではありません。
どの会社を使うかは【2026年最新】薬剤師転職エージェントおすすめ5選にまとめています。
まずは2〜3社を比べてみる
出典:厚生労働省「薬剤師の需給推計(案)」(薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会 資料1)、厚生労働省「令和6(2024)年 医師・歯科医師・薬剤師統計」
それでは、また。

