このブログは転職の記事ばかり書いていますが、今日は逆の話をします。

こんにちは。薬局薬剤師のとんぷくです。薬剤師歴19年、転職は4回しました。

転職しなくても解決することは、けっこうあります。そして転職しないと絶対に解決しないことも、はっきりあります。

理由は、職場の問題には「交渉で動く部分」と「その会社の構造そのもの」の2種類があるからです。前者は残ったまま変えられます。後者は、どれだけ努力しても変わりません。

転職エージェントが運営するサイトは、この内容を書けません。「転職しないほうがいい」と書くと登録者が減るからです。

だから僕が書きます。

転職しないで解決できたこと

僕自身や、周りで実際に変わったものを挙げます。

担当業務の変更

在宅がつらい、レセプトがつらい、特定の患者対応がつらい。

これは言えば変わることが多いです。管理薬剤師として言うと、こちらは「言われないとわからない」のが本当のところです。黙って耐えている人がいると、こちらは「大丈夫なんだな」と判断してしまいます。

つらいことを言うのは弱さではありません。店の運営としては、限界が来て突然辞められるほうがよほど困ります。

勤務シフトと休みの取り方

「土曜が毎週きつい」「連休が取れない」。

これも交渉の余地があります。特に人が足りている店なら、意外と通ります。逆に慢性的な人手不足の店では通りません。そこで初めて、これは構造の問題だとわかります。

人間関係の一部

これは限定つきです。

相手が変わることは期待できません。でも、シフトで顔を合わせる回数を減らすことはできます。実際、そこだけで持ち直した人を何人か見ています。

ただし、管理薬剤師との関係だけは別です。薬局は狭いので、そこから逃げる方法は基本的にありません。

資格と学びなおし

「このままでいいのか」というモヤモヤは、転職では解決しないことがあります。

認定薬剤師、在宅、NST、糖尿病療養指導士。やることが増えると、職場への不満そのものが減ることがあります。

これは根本的な解決ではないかもしれません。でも、モヤモヤの正体が「刺激がないこと」だった場合、転職しても3ヶ月で同じところに戻ります。

転職しないと解決しなかったこと

ここからが本題です。僕が4回動いたのは、以下が理由でした。

年収の頭打ち

これははっきりしています。社内にいるかぎり、給与は昇給のペースでしか上がりません。

僕の場合、年6万円ずつでした。10年かけて60万円です。転職1回で動いた額のほうが、10年ぶんより大きかった。

もちろん交渉はできます。でもその会社が薬剤師に出せる額には上限があります。地方の調剤薬局が管理薬剤師に出せる額は、だいたい決まっている。そこを超えたければ、会社を変えるしかありません。

僕は4回目の転職活動で「こんなに出せないよ」と複数の会社に言われました。逆に言えば、出せる会社を探すには外に出るしかないということです。

経営の方針そのもの

売上優先で対人業務に時間を割かせない。教育制度がない。加算の要件を軽く見ている。

これは一薬剤師が変えられるものではありません。変えようとして疲れ果てる人を何人も見てきました。

人間関係が「構造」になっている場合

さっき「一部は解決できる」と書きました。でも例外があります。

その人が経営者や親族である場合です。

僕の2回目がこれでした。親戚の薬局で管理薬剤師をしていて、仕事の関係に親戚の関係が混ざりました。プライベートにも踏み込まれ、家族関係にまでヒビが入った。

会社なら異動も退職もできますが、親戚は辞められません。逃げ道が構造的にない場合、動く以外の選択肢はありません。

心身に実害が出ているとき

これは議論の余地がありません。

眠れない、朝が来るのがつらい、休みの日も仕事のことが頭から離れない。この段階まで来たら、我慢は美徳ではありません。

そして厄介なことに、この状態になると判断力そのものが落ちます。転職活動をする気力もなくなる。だから、そこまで行く前に選択肢を持っておいてほしいと思っています。

見分け方|1年後を想像してみる

どちらなのか迷ったときの、簡単な方法があります。

「1年後、この問題は変わっている可能性があるか」と自分に聞いてください。

僕は一度転職活動を止めて、数ヶ月ようすを見てから再開しました。
そのときの判断は転職活動に疲れたら、一度止めていいに書いています。

変わりうる 担当業務/シフト/一部の人間関係/自分のスキル
→ まず言ってみる。動くのはそのあと
変わらない 給与の上限/経営方針/経営者との関係/心身の実害
→ 動くことを選択肢に入れる

上の段なら、まず言ってみてください。言わずに辞めるのは、正直もったいない。

下の段なら、努力の方向を「耐えること」から「選択肢を作ること」に変えたほうがいいと思います。

動かなくても、知っておくことに意味がある

最後に、これがいちばん言いたいことです。

選択肢を知ったうえで残ることと、知らないまま我慢することは違います。前者は選択で、後者は諦めです。

情報を集めるだけなら、いま動く必要はありません。相場を知り、求人の中身を知り、そのうえで「やっぱり今の職場でいい」と決められるなら、それがいちばん強い状態だと思います。

僕も4回のうち、途中でやめた転職活動が何度かあります。動かないと決めた活動も、無駄ではありませんでした。自分の市場価値がわかると、今の職場の見え方まで変わります。

動かないと決めるためにも、いちど相場を見ておくといいと思います。比べる材料がないまま残るのは、選択ではなく諦めになりやすいからです。→ 【2026年最新】薬剤師転職エージェントおすすめ5選

このブログの名前は「とんぷく」です。頓服は、毎日飲む薬ではありません。しんどい日に、必要なぶんだけ飲むものです。

転職も同じだと思っています。飲まずに済むなら、それが一番いい。でも本当にしんどいとき、手元にあるのとないのとでは、気持ちの余裕がまるで違います。

いま動かないと決めたとしても、60歳まで薬剤師を続けるとしたらは一度考えておく価値があります。あと何年働くかで、答えが変わるからです。

それでは、また。