管理薬剤師になって最初にぶつかるのは、加算でも監査でもありません。

自分より年上の部下です。

こんにちは。薬局薬剤師のとんぷくです。薬剤師歴19年、転職は4回、管理薬剤師は通算10年やってきました。

年上の部下は、指示ではなく相談の形で動きます。

理由は、薬剤師という職種では役職の差が実力の差に見えないからです。
同じ免許を持っていて、経験年数は相手のほうが長い。
その状態で「管理薬剤師だから」と言っても、通りません。

僕はここで何度も失敗しました。

なぜ年上の部下は難しいのか

腕を組んで並ぶ人たちのイラスト

一般の会社より、薬局のほうがこの問題は起きやすいと思っています。

  • 免許が同じ。資格の上下がないので、役職だけが差になります
  • 業務が属人的になりにくい。誰でも同じ調剤ができるぶん、経験年数の重みが出ます
  • 店が狭い。逃げ場がなく、関係がこじれると毎日続きます
  • 管理薬剤師が若いことが普通にある。中小ほど早く任されます

つまり、「立場は上だが、説得力は下」という状態から始まります。
ここを分かっていないと、正しいことを言っているのに動いてもらえない、という状況になります。

管理薬剤師の仕事そのものについては管理薬剤師を通算10年やって、面接する側にも回ってわかったことに書きました。

やってはいけない3つ

頭を抱えている男性と下向きのグラフのイラスト

僕が実際にやって、うまくいかなかったことです。

役職を持ち出す

「僕が管理薬剤師なので」は、いちばん通らない言葉でした。

相手が納得していないときに立場を出すと、話が力関係の問題に変わります。
そうなると、内容が正しいかどうかは関係なくなります。

人前で指摘する

狭い調剤室で、他のスタッフがいる場所で指摘する。
これは年下相手でもよくありませんが、年上には決定的です。

面子をつぶされたと受け取られると、そのあと何を言っても通りません。
指摘は必ず別の場所で、二人のときにしていました。

全部自分でやってしまう

言っても動かないから、自分でやる。
これがいちばん楽なのですが、続けると相手の役割がなくなります。

役割がない人は、さらに動かなくなります。
そして自分の残業が増えます。

実際にうまくいった3つ

白衣の薬剤師が説明しているイラスト

逆に、うまくいったやり方です。

先に教えてもらう

新しく管理薬剤師になった店では、最初の1ヶ月は教わる側に回りました。

「この店ではどうしていましたか」と聞く。
これだけで、相手の立場が保たれます。

そのうえで変えたいことがあれば、「前のやり方の理由」を分かったうえで提案できます。
理由を知らずに変えようとすると、必ず反発されます。

決定の理由を先に言う

「こうしてください」ではなく、「◯◯だから、こうしたい」の順で言う。

年上の人ほど、結論だけ渡されることを嫌います。
理由が先にあれば、指示ではなく相談になります。

そして、相手が別の案を出してきたら、それを採用したほうがいいことも多いです。

決まったことは記録に残す

口頭だけだと「聞いていない」が起きます。
これは意地悪ではなく、単純に忘れます。

申し送りノートでも、レセコンのメモでも、形は何でもいい。
記録があると、指摘が個人攻撃ではなく事実の確認になります。

それでも動かないとき

白衣を着た薬剤師2人が話しているイラスト

やることをやっても変わらない相手はいます。
そのときに考えることは2つです。

1つ目は、上に上げること。
エリアマネージャーや本部がある会社なら、これは責任の放棄ではなく手順です。
管理薬剤師が1人で抱える問題ではありません。

2つ目は、線を引くことです。
その人を変えるのを諦めて、業務が回る最低限だけを合意する。
仲良くなることを目標にしないと決めた瞬間、少し楽になりました。

そして、それでも毎日がしんどいなら、それは職場の構造の問題かもしれません。
中小の薬局には異動がないので、人の相性が働きやすさの全部を決めます。
この違いは大手チェーンと中小薬局は実際どう違うかに書きました。

この仕事は手当に入っていない

白衣の薬剤師が説明しているイラスト

はっきり書いておきたいことがあります。

管理薬剤師手当に、この労力は含まれていません。

手当の名目は、法令上の責任と、店舗の管理です。
人間関係の調整は、そのどこにも書かれていません。
でも実際には、時間の何割かをここに使います。

僕が管理薬剤師を10年続けたうえで思うのは、この部分がきついなら、それは十分に転職を考えていい理由になるということです。
役職を降りる、規模の小さい店に移る、そもそも役職のない働き方に変える。
選択肢は1つではありません。

規模によって管理薬剤師の仕事がどう変わるかは薬剤師2人の店と、10人の店に書きました。

まずは2〜3社を比べてみる

まとめ

上向きの矢印を駆け上がる人のイラスト

年上の部下との付き合い方で、押さえておくことは次の5点です。

  • 薬剤師は免許が同じなので、立場は上だが説得力は下から始まります
  • 役職を持ち出す、人前で指摘する、全部自分でやるの3つはうまくいきません
  • うまくいくのは先に教わる、理由を先に言う、記録に残す
  • 変わらない相手なら、上に上げるか、業務が回る最低限で線を引く
  • この労力は管理薬剤師手当に含まれていません。しんどいなら、転職を考えていい理由になります

年上の部下がいる管理薬剤師は、たぶん全国にたくさんいます。
うまくやれないのは、あなたの人間力の問題ではありません。
そもそも構造的に難しい役割を、手当5万円で引き受けているだけです。

それでは、また。